野菜や穀物は種を播いて個体数を増やしていきますが、果樹は遺伝的背景が固定していないため、種を播いても親と同じ品質のものを作ることができません。そのため、数を増やす際には親の枝を他の木に接ぐことで親と同じもの(クローン)を増やしていく「接木」によって繁殖を行います。
ここでは他の柑橘の枝を切ってナルトオレンジの枝を接ぐ「切り接ぎ」という方法をご紹介します。この方法を使うと、一本の木に色々な柑橘を生らせることができるので、是非試してみてください。
気温が上がり、芽が動き始める
必要な道具は「
まずは穂木(ナルトオレンジ)の準備をします。
穂木は断面が三角形の春枝より、断面が丸い夏枝の方が良いでしょう。
次にどの芽を接ぐか選びます。芽は枝の表面からぽっこり頭を出しているので、簡単に見つけられます。
よく切れる刃物で芽の少し下を写真のように削ります。この際、片方を鋭角に、もう一方を鈍角に削ります。後述しますが鋭角な面が台木の内側に、鈍角な面が台木の外側になるように接ぎます。どちらの面も極力平らに削ることがポイントです。上手く削れたら1〜2芽残し、余計な部分を剪定バサミで切り落とします。
次に台木の準備をします。台木は穂木と同じか少し太いぐらいの枝を選び、剪定バサミで垂直に切り落とします。その後、切り口の角を落とし、写真のように切れ込みを入れます。
穂木の鋭角な面が台木の内側を向くように差し込みます。この際、穂木と台木の形成層(削った面の緑色の部分)がなるべく重なるように接いであげるのがポイントです。接いだあとは接木テープで切り口が乾燥したり雨水が入らないようにしっかりと巻いておきます。
約3週間後に穂木から新しい芽が出始めたら接木成功です。一方、穂木全体が茶色くしなびてしまったら残念ながら失敗です。ですが失敗した部分を切り落とせば何度でもチャレンジできるので、諦めずに挑戦してみてください。