栽培管理

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「ナルトオレンジに興味はあるんだけど、どうやって管理したらいいかわからない」
いう方もたくさんいらっしゃることと思います。
ここでは、初めて柑橘を栽培される方を対象に、重要なポイントをピックアップしてご紹介したいと思います。

ナルトオレンジ栽培に重要な3ポイント
  • 適地栽培
  • 施肥管理
  • 害虫対策
ポイント1適地栽培

 基本的に柑橘は日当たりと水はけの良い温暖な気候を好みます。ナルトオレンジの場合、年平均気温が15.5℃〜16.5℃程度は必要で、あまり寒さに強くないため極端な低温にあたらないことが望ましいと言えます。土壌条件としては田んぼのような粘土質な土壌より、通気性や排水性のよい砂状土の方が適しています。また、ナルトオレンジの枝には写真のようなトゲトゲがたくさんあり、強い風にあたり続けると自分のトゲで葉っぱに傷をつけ、そこから病原菌が感染して発病することもあります。特にナルトオレンジは「かいよう病」にとても弱いので、病気対策のためにも防風対策はとても重要です。風当たりの強い場所に植えるようでしたら、防風ネットなどで対策をしておきます。
 苗木の植え付けは3月下旬〜4月上旬が適期です。苗木を移植したら接ぎ木部から30〜35cmほど上で切っておきます(切り返し)。もったいないようですが、そのまま放っておくと木の先端がどんどん伸びて細長い木に育ってしまうので、先端を切って木の根元付近から側枝を出してあげた方が頑丈な木に育ちます。

オレンジのトゲ
背景
ポイント2施肥管理

 花や野菜を育てる時と同様に、果樹の栽培においても施肥管理はとても重要になってきます。ナルトオレンジに施用するものとしては肥料と土壌改良剤の2種類が挙げられ、前者には化成肥料と有機肥料が、後者には苦土石灰が含まれます。化成肥料は窒素、リン酸、カリウムなどの成分を化学的に合成した肥料のことで、植物が速やかに吸収して施肥の効果が早いのが特徴です。また、肥料成分の濃度が高いので、有機肥料より施用量が少なくて済む(省労力)、臭いが少ないなどの利点があります。一方、有機肥料は堆肥や腐葉土など有機物を肥料化したもののことで、化成肥料と比べて肥料成分は少ないのですが、施用することで土壌微生物が活性化されて土を豊かにしてくれるので化成肥料と併せて利用すると効果的です。苦土石灰は苦土(マグネシウム)と石灰(カルシウム)を含む土壌改良剤で、一般的な農作物の栽培でも多く利用されています。苦土石灰の働きとしては酸性土壌を中和してくれる作用の他、ミネラル分を補給する効果もあります。

幼木期のせ施肥基準表

 施肥のタイミングとしては、1月〜2月に苦土石灰を100kg/10a(一株あたりおよそ2kg)、3月上旬(春肥)、6月上旬(夏肥)、8月下旬(初秋肥)、11月上旬(晩秋肥)の4回に下表の基準に沿って肥料を施用します。特に、成長の遅い春肥、晩秋肥は有機肥料を、成長の早い夏肥、初秋肥は化成肥料を中心に与えると効果的です。また、地植えであれば基本的に水やりは不要ですが、夏の高温期に晴天が続く場合は土壌水分だけでは足りない場合もありますので、水やりが必要になります。木の様子を見て1週間に一度、たっぷりと水やりを行うようにします。

ポイント3病害虫対策

 ナルトオレンジの栽培で最も気をつけなければいけない病気が「かいよう病」です。これは強風などで葉っぱが擦れてできた傷や害虫の食害痕などから病原菌が入ることで発症し、葉や果実に褐色の病斑を形成します。発症後は薬剤による完治が困難なため、防風対策、害虫予防など事前の対策がとても重要です。発病した枝葉は剪定し、感染拡大の防止に努めます。また、「黒点病」に感染すると名前の通り黒い斑点状の病斑を形成し、果実の商品価値を下げてしまいます。黒点病の病原菌は枯れ枝に潜んで越冬するので、農薬の散布と並行して病気の発生源となる枯れ枝をこまめに除去することが重要な対策です。木の根元に発症する「すそ腐れ」は梅雨時に蔓延し、感染部が黒色に変色します。その後、感染部の樹皮に亀裂が入り、樹皮が浮いてはがれやすくなります。発症が幹の周囲全体に拡大すると生育が著しく低下し、枯死する場合もあるので注意が必要です。土壌中の病原菌が地際部の傷口などから侵入することが多いので、株元が多湿条件にならないよう排水対策を行い、草刈り時に地際部を傷つけないよう注意して行います。
 一匹の害虫で最も甚大な被害を及ぼすのはカミキリムシです。カミキリムシは漢字で「髪切虫」と書くように非常に頑丈なアゴをもっています。成虫はそのアゴで葉や枝に食害を及ぼす程度ですが、幼虫は「テッポウムシ」とも呼ばれ、木の幹に穴を開けて内部を食い荒らして木を枯らしてしまうこともあります。カミキリムシの産卵が最も活発なのは6月〜7月頃なので、6月中旬頃にしっかりと農薬を散布して対策をしておきます。特に産卵を行う幹の根元も忘れず散布を行うことが肝要です。その他、ハモグリガ、ヤノネカイガラムシ、ハダニ、アブラムシ、アゲハチョウなども大発生すると木の生育が衰えるので、適宜、農薬散布で防除を行います。

かいよう病
黒点病
カミキリムシ
オレンジ栽培ごよみ
オレンジ栽培ごよみ表
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文責:吉川貴徳

参考文献:淡路特産”ナルトみかん” 〜歴史と栽培法 今後の展望〜. 淡路県民局洲本農林水産振興事務所、南淡路農業改良普及センター、北淡路農業改良普及センター、県立農林水産技術総合センター淡路農業技術センター著

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